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よく、政治家の方々が「非常に遺憾に思います。」という言葉を使います。
この「遺憾(いかん)」とは本当はどういう意味なのでしょうか。
怒りの気持ちがこめられているのでしょうか。
今回は、「遺憾(いかん)」の意味、怒りの気持ちはあるのかどうか。
また、類義語、使い方、そして、四字熟語「遺憾千万」の意味を紹介します。
この記事を読めば、ふだん、あまり使う機会の無い「遺憾(いかん)」という言葉。
この言葉を、あなたもさりげなくかっこよく使えるようになっちゃいます。
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意味
政治家や経営者が好んで使うこの言葉。
たとえば経営者が社員が起こした不祥事(ふしょうじ)についての記者会意見でよく言ってます。
「このたび、弊社社員が起こした不祥事について、まことに遺憾に思います。」
また、政治家の記者会見で
「2国間の貿易交渉を締結させることができず、遺憾に思います。」
どちらも、日本人が聞いてもなんて言っているのか、わかりにくい言葉ですね。
なので、きっと外国の人はこの「遺憾」という言葉を母国語に訳すのには苦労するのではないでしょうか。
では、この日本人でも意味がわかりにくい言葉の意味を紹介しますね。
この言葉の意味は、自分の希望通りにことがはこばなくて、残念である。
また、希望通りにならなくて、そのことが心残りである。
という意味です。
つまり、「遺憾」という言葉には、思ったとおりにならなく、残念。
そして、希望通りに実現しなくて、心残りである。
そんな感情がこめられた言葉なんですね。
例えば、先ほどの経営者が社員が不祥事を起こし、謝っているのは
「自分の会社の社員が不祥事を起こしてしまい、残念です。」
次の、政治家の記者会見で2国間の交渉がうまくいかず、語っているのは
「貿易交渉を締結させたかったのに、うまくいかず心残りだ。」
というような意味合いになるんです。
それでは、ちょっとひねって「遺憾無く、実力がはっきできました。」と言うとどういう意味になるのでしょうか。
遺憾が無いのですから、残念では無いということです。
つまり、心残りがなく十分に実力がはっきできたという意味になります。
これは、「遺憾」+「無い」の2つの言葉を合わせて、まったく新しい意味をつくりだす言葉の使い方です。
言葉って、おもしろいですね。
遺憾とは怒りの気持ちはあるのか
ニュースなどで、政治家の方が「極めて(きわめて)、遺憾に思います。」と語気強く言うのを聞いたことがありませんか。
なんだか、怒って言っているようにも聞こえますね。
では、この表現に怒りの気持ちはあるのでしょうか。
怒りというのは、相手に対しての自分の感情の表現です。
しかし、「極めて(きわめて)、遺憾に思います。」
とは、相手に対し自分の感情を言っているのではないんです。
自分が残念に思ったり、心残りだったりと自分の感想を言っているのです。
なので、語気強く「極めて(きわめて)、遺憾に思います。」
と言っていても、それは自分の感想をのべているにすぎないんです。
このことは、とっても大切なことですから、もっとわかりやすく説明しますね。
「金メダルをとれなくて、極めて遺憾に思います。」
これは、「私は、金メダルが欲しかったんだけど、結局銀メダルだった。」
⇒なので、「金メダルがとれず、残念に思っている。」 と、感想をのべているんです。
金メダルがとれずに、金メダルをとった相手に怒っているわけではないんです。
営業マンが定年前最後の商談で、契約がとれなかった。
上司に最後の商談がうまくいかなかった報告をするとき。
「契約がとれずに、極めて遺憾に思います。」
これは、「営業マンとして最後の商談なので、契約をとりたかったけれど、とれなかった。」
⇒なので、「契約がとれずに、心残りです。」と、感想をのべているんです。
契約をしてくれなかった相手に怒っているわけではないんです。
このように、遺憾という言葉に怒りの気持ちの意味はないんです。
しかし、結果に対し、「金メダルを取るためにもっと練習しておけばよかった。」
「商談相手も、無理を言わずに、歩み寄って欲しかった。」
こんな反省や希望の意味もこめられているかもしれませんね。
では、怒りの気持ちをあらわすのならどういう言葉を使えばいいのか。
「断固として、非難する。こうすべきだ!」などのように、相手に指図(さしず)する表現の言葉を使う。
そうすれば怒りの気持ちを簡単にあらわすことができます。
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類義語
それでは、「遺憾」という言葉の類義語を紹介します。
- 残念
- 心残り
- 悔(くや)しい
- 口惜(くちお)しい
- 無念
- 心苦しい
- 情けない
類義語のほうが、意味がわかりやすいですね。
日本語は聞いてすぐに意味が伝わる言葉。
そして、聞いても何が言いたいのか意味が伝わりにくい言葉の2種類があります。
言葉は、自分の意思を相手に伝えるためにあります。
しかし、自分の意思をストレートに伝えない、建て前文化のある日本ならではの2種類の言葉なんです。
使い方
それでは、「遺憾」と言う言葉の使い方を紹介します。
- 遺憾の意をあらわす。
- このたびの、わが社の起こした不祥事については、大変遺憾に思います。
- 誠に遺憾ではありますが、部活動を禁止いたします。
- この大会で、遺憾なく力をすべて出し切って下さい。
- 甚だ(はなはだ)遺憾ではありますが、その提案は却下いたします。
なんだか何を言いたいのかよくわからなくないですか。
「遺憾」という言葉をつかうと、こういう意味が相手に伝わりにくい使い方になります。
しかし、感情をあらわにせず、冷静に「残念」「心残りだ」と言いたい時には便利な言葉なんですよ。
なので、沈着冷静な何事にも心を乱さない人で度量がある人だと思われたい時にはぜひ使ってみてくださいね。
落ち着いていて、感情的にならずにいること
心の広いこと、他の人のことを受け入れること
遺憾を使った四字熟語「遺憾千万」の意味
では、遺憾を使った四字熟語「遺憾千万」の意味を探っていきましょう。
四字熟語ですから、遺憾+千万と言葉を分けて、それぞれの意味を探れば、この四字熟語の意味もわかってきます。
遺憾は今まで紹介してきたように、「残念」「心残り」という意味です。
そして、千万は、千×万で数が多いことをあらわします。
数がとても多い残念、数がとても多い心残りです。
つまり、「遺憾千万」の意味は、「とても残念」「非常に心残りだ」という意味なんです。
言葉はそれぞれ独立して意味を持っています。
ですから、四字熟語の意味を探るときには、このように言葉を分けて探っていくと意味がわかりやすくなります。
まとめ
「遺憾」と言う言葉は、建て前文化のある日本ならではの言葉です。
ストレートに感情をあらわすことなく、相手の質問に答えることができる便利な言葉です。
ですから、政治家や経営者の方々が記者会見などでよく使っています。
政治家や経営者の方々が記者会見で話す言葉は、普段の会話とは違います。
その一言一言に世間は注目しています。
その一言一言の意味を探り、推測し、ニュースになったりします。
そのような場面ではなかなか本音をズバリと話すことは難しいのかもしれません。
なので、外国の人が聞けば、何を言いたいのかよくわからない言葉を使うのかもしれません。
世界が広いときには、それでよかったのかもしれません。
しかし、ネットで世界中がつながり、世界はせまくなりました。
どんなに遠くの国のことでも、すぐに世界中に発信される今。
「遺憾に思います。」というあいまいな言葉は世界で通用しない言葉になってくるのかもしれません。
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