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「流石」という2つの漢字でできた言葉があります。
この言葉は何と読むんでしょうか。
ながれいし?
りゅうせき?
この言葉の、もうひとつの読み方は知らないと、考えても出てきません。
というのも、この漢字2文字でできた言葉は、当て字なんです。
なので、「流」と「石」の訓読みや音読みから考えても、でてこないんです。
たとえば、「紅葉」と書いて「もみじ」と読みますよね。
これも、当て字です。
「流石」もそんな言葉なんです。
ということで今回は、「流石」の読み方と意味。
そして、言葉の由来と、この言葉は、ほめ言葉なのか失礼な言葉なのかをみていきましょう。
さらに、この記事のどこかに、人名に関する「へ~、そうだったんだ!」という雑学も書いています。
どうぞ、最後までおつきあいを。
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目次
流石の読み方と意味
それでは、この「流石」という言葉の読み方。
そして、つぎに言葉の意味を、くわしくみていきましょう。
読み方
「流石」は「さすが」と読みます。
「この難しい仕事を、すぐに終わらせるなんて、流石(さすが)ですね。」
の「さすが」です。
意味
それでは「流石(さすが)」と言う言葉は、どういう意味を持っているんでしょうか。
じつは、この言葉は、まったく異なった3つの意味をもっているんです。
- 期待通りの、結果を確認し、新たに感心すること。
このひとつ目の意味を使った例文。
「この難しい事件を、あっという間に解決するなんて、流石(さすが)は名探偵」
この例文の「流石(さすが)」は、名探偵なんだから、難事件も解決してくれるだろう、と期待はしている。
そして、期待通りに難事件を解決してくれた結果を確認した後、新たに、たいしたもんだと感心しているということです。
- 自分で、そうなるだろうなと予想していたことを、改めて納得すること。
このふたつ目の意味を使った例文。
「息子は、試験に合格するだろうと思っていたが、実際に合格すると、流石(さすが)にうれしい。」
この例文の「流石(さすが)」は、合格は予想していたが、合格を知り、改めて自分の予想に納得しているということです。
- あることの価値を認めてはいる。しかし、その認めていることを否定する、感情も持っている。
この3つ目の意味を使った例文。
「彼は、数学の天才だ。しかし、流石(さすが)にこの問題は解けないだろう。」
この例文の「流石(さすが)」は、数学に関して、彼が天才であることは認めている。
そかし、この問題は、解くことはできないはずだと、彼が天才であることを否定する感情も持っているということです。
「流石(さすが)」と言う言葉は、私は普段なにげなく使っている言葉です。
なにげなく使っていますから、この3つの使い方も自然に使っていました。
でも、改めて言葉の意味を聞かれると、すんなりとは出てきませんでした。
あなたは、どうでしたか。
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流石(さすが)の由来
それでは、この言葉の由来はどこから来ているのでしょうか。
なんせ、流れる石を「さすが」と読むのですから、由来は期待しちゃいますね。
安心してください!
この言葉の由来を知ったら「へ~、そうだったんだ!」とびっくりしますよ^^
「流石(さすが)」という言葉の由来は、中国に関係しています。
日本でも平安時代から江戸時代まで、学問の入門書として使われていた中国で書かれた「蒙求(もうぎょう)」という書物があります。
この「蒙求(もうぎょう)」のなかの故事に、「流石(さすが)」の由来が書かれています。
では、その故事を紹介しましょう。
古代中国の西晋という国に、孫楚(そんそ)という政治家がいました。
孫楚(そんそ)は、俗世間のくらしに、いやけがさして、世間から隠(かく)れて生きていきたいと考えるようになりました。
そこで、友人の王済(おうさい)に自分の考えをうちあけました。
そのとき、孫楚(そんそ)の言い間違いから「流石(さすが)」という言葉が生まれました。
その、言い間違いとは・・・。
孫楚(そんそ)は王済(おうさい)に「石に漱(すす)ぎ、流れに枕す(石で口をすすぎ、川の流れを枕にするような、俗世間から離れた生活をする)」と自分の考えをうちあけました。
それを聞いた、王済(おうさい)は笑って孫楚(そんそ)に言いました。
それを言うなら「石に枕し、流れに漱(すす)ぐ(石を枕にし、川の流れで口をすすぐような、俗世間から離れた生活をすること)」と言うべきじゃないのか。
孫楚(そんそ)は、「しまった!」と思ったんですが、プライドもあり間違いを認めたくなく、こんなふうに言い返しました。
「間違ってなんかいないさ。石に漱ぎとは、石で歯を磨くこと。流れに枕すとは、俗世間のいやなことを、川の流れで耳を洗い清めることじゃないか。」と。
それを聞いて、王済(おうさい)は「へ~。理屈にもならない屁理屈だけど、うまいこと言い返したな。」と感心してしまったんです。
そのことから、なるほどと感心する「さすが」と言う言葉に、「漱石枕流」から「流石」という当て字を書くようになったんです。
どうですか、「へ~、そうだったんだ!」と思っていただきましたか^^
ほめ言葉なのか失礼な言葉なのか
「流石」と言う言葉は、ほめ言葉なのか、それとも失礼な言葉なのか。
それは、この言葉を使う場面によって変わってきます。
たとえば、自分より目上の人に使うとき。
そして、自分より目下の人に使うとき。
それぞれについて、みていきましょう。
自分より目上の人に使うとき
たとえば、自分の上司に向かってこう言ったとしましょう。
「この難しい仕事を、すんなり終わらせるなんて、流石は部長ですね。」
ここで、あなたに問題です。
自分の上司に向かって言ったこの「流石」は、ほめ言葉なんでしょうか。
それとも失礼な言葉なんでしょうか。
考える時間は、30秒です。
では、お考えください。
・
・
・
・
・
・
・
・
はい!30秒たちました。
では、お答えをどうぞ。
あなた:「部長のことをほめてるんだから、ほめ言葉!」
私 :「それで、いいですか。一回だけなら、言い直しできますよ。」
あなた:「だいじょうぶ!ほめ言葉です!」
私 :「残念!失礼な言葉になってしまいます。」
あなた:「え~、なんで!納得できない。」
それでは、なぜこの場合、失礼にあたるのでしょうか。
それは、相手が目上の人だからです。
この問題の場合、部長は仕事ができる。
その部長の仕事に対する実力を、みきわめていることになるからなんです。
部長は仕事ができる⇒難しい仕事をすんなり終わらせた⇒やっぱり、部長がしごとができるのは本当だ。
つまり、部長が仕事ができることを、難しい仕事ができたことで、認めている。
部長からしたら、部下から試されたような「流石」と言う言葉になってしまうんです。
つまり、「部長は仕事ができると思ってましたが、やっぱり仕事ができるんですね。」
と言って、あなたが部長の仕事を評価したようになってしまうんです。
なので、目上の人に「流石」と言う言葉を使うのは、ひかえたほうがいいでしょう。
言葉の意味がわかっている上司なら、気分を害するかもしれませんよ。
「流石」と言う言葉を使うなら、自分と同等の立場に人か、目下の人に使いましょうね。
まとめ
流石(さすが)と言う言葉が、中国の故事からきている漢字だとは、ちょっとびっくりしませんでしたか。
自分の間違いを認めたくない、古代中国の孫楚(そんそ)の屁理屈から生まれた、当て字だったんです。
そして、「流石」と言う言葉を、目上の人に使うと、失礼な言葉になってしまうので、ご注意を。
おもわず、「さすがですね!」って使っちゃいそうですから。
それでは、ここまで読んでいただいたあなたに、最後にちょっとした雑学を。
明治時代の文豪で、書いた本を読んだことはなくても、この人の名前は聞いたことがあるでしょう、
その人の名は「夏目 漱石」です。
本名は「夏目 金之助」です。
執筆するときの、ペンネームが「夏目 漱石」なんです。
ペンネームである「漱石」。
この記事のどこかででてきていませんか。
そうです!
王済(おうさい)の屁理屈である「石で口をみがき、、川の流れで耳を洗い清める。」からきている、「漱石枕流」。
この故事から、ペンネームを「夏目 漱石」としたんです。
言葉って、おもしろいですね。
故事からきている言葉って流石(さすが)は奥が深いです。
あれ?これって上から目線になってますね。
いやいや、注意しますね。
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