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忖度(そんたく)という言葉があります。
普段は会話でも、文章でもなかなか使わない言葉ですね。
忖度(そんたく)は普段は使わなくても、日本社会の特徴を説明するには良い言葉です。
日本だからこそ生まれた言葉です。
今回は「忖度(そんたく)」という言葉の意味や例文を紹介しています。
また、日本独特の忖度文化や忖度政治についても解説しています。
忖度(そんたく)って使う人によっては、とってもステキなことになるんですよ。
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忖度の意味をわかりやすく解説
忖度とは、相手の言葉や行動から相手の心の中を推し量る(おしはかる)ことです。
忖度の「忖」はこれだけで「推し量る」と言う意味の文字です。
忖度の「度」は程度のことです。「ある程度やっておこう。」なんて言いますよね。
「これぐらいは推し量ろうよ」ということです。
「忖度」の意味である推し量る(おしはかる)とは相手の心の中を推測することです。
「相手はこういうことを望んでいるんではないだろうか。」
「相手がこういう態度をするのは私にこうして欲しいんじゃないだろうか。」
ということです。
「推」はこの漢字で「おしはかる」という意味を持っています。
「量」はこの漢字で「はかる」という意味を持っています。
たとえば、雨量とは雨の量のことですよね。
日本ならではの言葉ですね。
「言わなくてもわかるでしょ。」
「そんなこと言わなくても常識でしょ。」
「これだけやってあげたんだから、私に有利にしてくれて当然でしょ。」
こんな会話は日本ではよくある会話です。
物事や態度を言葉ではっきり伝える欧米社会では理解しがたい日本特有の言葉ですね。
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忖度を使った例文
普段はなかなか「忖度」という言葉は使いませんが、相手の心の中を推し量る内容になります。
- 彼女の心を忖度していたつもりだったが、彼女への心配りが足りなかったようだ。
- 社長の話す内容から忖度し、新しいプロジェクトを立ち上げた。
- 両親の心を忖度して、入試は学費の安い国立大学一本にしぼった。
- 息子の話す内容から忖度し、クリスマスプレゼントをこのおもちゃに決めた。
- 両親の話す内容から忖度し、温泉旅行をプレゼントした。
- 社長の話す内容から忖度し、仕入れ業者を決めた。
- 彼は相手のことなどまったく忖度しないで行動する。
いきなり「忖度」という言葉を使って会話や文章に使っても相手に伝わらないかもしれませんね。
「忖度」という言葉の意味を相手が理解しているかどうか忖度しなくてはなりませんね。
忖度する日本文化
今でこそ、核家族が当たり前のようになっていますが、以前日本は長い期間村社会が中心でした。
村社会では「何事も仲良く、いさかいを起こさないようにする。」ことが大切でした。
村社会をどんなことでもひとつの方向に向くようにしなくてはいけなかったのです。
そんな村社会では欧米社会のように「私が私が」と自分の意見や主義を前面に出すことはできませんでした。
村社会で生活する各人がみんな自分のことを主張していては「何事も仲良く、いさかいを起こさないようにする。」
ことを実現することはできません。
そんな村社会が長い時間中心だった日本では、相手の心の中を推し量る「忖度」は当然のことだったのです。
むしろ「忖度」しないと村社会の中で生きていくことはできません。
今の時代の様に、交通機関や通信手段が発達していなかった時代。
そんな時代では、自分が生活する村社会がすべてだったのです。
今のように、簡単に他の地に引っ越すことなど考えにくかった時代です。
そんな時代背景では「何事も仲良く、いさかいを起こさないようにする。」ことは当然のことだったのかもしれません。
村社会が崩壊してしまえば、生活することすら難しかったのです。
「忖度」の善悪はともかく、忖度することは村社会では必要不可欠だったのです。
忖度政治
村社会が長い時間続いた日本では政治の世界でも忖度することが大切なことだったんですね。
政治の世界では有権者が政治家である自分に何を求めているかを忖度しないといけません。
「空気を読む」という日本独特の言葉がありますが、政治の世界でも「空気を読む」能力。
忖度能力を政治の世界では持っている必要があるようです。
日本は議会制民主主義ですから、国民から選ばれた議員が議会を通じて政治を行っています。
現在の日本では政党ごとに意見をまとめ、議会でそれぞれの党の意見を通そうとしています。
議会は多数決が基本です。
議員それぞれが自分の意見を前面に押し出すばかりでは政治がストップしてしまいます。
そこで登場するのが「忖度」です。
忖度は使う人によって良くも悪くも働いてしまいます。
今の日本の忖度政治が良いものなのかどうか。
これは、有権者一人一人が考えなければ答えは出ないことですね。
まとめ
忖度(そんたく)とは「相手の心を推し量る」ことです。
個人の主義主張をはっきりと言葉で表現する欧米の人には理解しにくいようです。
芝居でせりふを話さずに人の心の中を表現する腹芸。
こんな芸、日本でしか通用しないんじゃないでしょうか。
腹芸が理解できる日本だからこそ生まれた言葉ですね。
「そんなこと言わなくてもわかるでしょ」ということですね。
日本では長い期間「いさかいを起こさないように、みんな仲良く。」
という社会が続いていました。
そんな日本だからこそ、日本独特の忖度文化や忖度政治が生まれたのかもしれません。
忖度ということ自体は悪いことではありません。
忖度をどう考えどう使うかで良くも悪くもなってしまうのです。
忖度をいかに良い方向に活かし、グローバル社会で生きていくか。
今の私たちの大切な課題なのかもしれませんね。
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