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私は営業マンをしていますから、取引先に提案書を作成することが、よくあります。
そして、今では手書きで提案書を書くことはなくなり、パソコンを使って作成しています。
そんなあるとき、私は提案書をパソコンで作成していて、ふと漢字の変換に迷ったことがありました。
それは「じゅうぶん」を漢字に変換しようとすると「十分」と「充分」となり、どちらを使っていいのか迷ってしまったんです。
あなたは、そんな経験、ありませんか。
難しい漢字でもないので、他の人に聞くのは、ちょっと恥ずかしい。
でも、会社としての文章なので、間違った漢字は使えない。
ということで今回は、「十分」と「充分」の意味の違い。
そして、公用文にはどっちの漢字を使うのかをみていきましょう。
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目次
十分と充分の意味の違い
「じゅうぶん」をパソコンで漢字変換したときに表示される、「十分」と「充分」。
それぞれ、どんな意味をもっているのかをみていきましょう。
それぞれの漢字の意味が、違う意味なら、使い分けは簡単ですよね。
十分の意味
野球の打率をあらわすのに、打率3割5分なんていいます。
パーセントになおすと、35%のことです。
また、健康のために「腹八分目」にしておこう。
なんて言い方もあります。
この2つのたとえで出てくる「分」という漢字の使い方には共通点があります。
打率は数字がふえればふえるほど、打者として、満足いくのもになります。
そして、腹八分目をこえてお腹いっぱい食べれば、満腹感で心が満たされます。
ともに、数字で満足の感情をあらわしています。
つまり、数字で心の満足感を表現できるときで、満足感でいっぱいのとき「十分」という漢字を使います。
充分の意味
今のネット用語で「リア充」という言葉があります。
これは、現実(リアル)の生活が充実していることをあらわす、ネット用語です。
このときの充実とは、必要なものが不足なくそなわっていることを意味します。
つまり、現実に満足しているということです。
また、「充足(じゅうそく)」という言葉の意味は、「満ちたりること」と言う意味です。
この2つの言葉は、感覚的に満足しているということです。
なので、充を使った「充分」は感覚的な満足感をあらわすときに、使います。
それでは、「十分」と「充分」の違いをまとめてみましょう。
- 十分・・・数字で心の満足感を表現するときに使う
- 充分・・・感覚的な心の満足感を表現するときに使う
同じような言葉ですが、客観的に見れるかどうかで、意味が違ってくるんですね^^
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使い分けるときの注意する点
似ているような似てないような、「十分」と「充分」。
この2つの言葉を使い分けるときの注意点を、クイズにしてみました。
次のようなときには、あなたはどちらの「じゅうぶん」を使いますか。
会社の上司が部下に向かって言いました。
「きみが、この仕事をがんばっているのは、よくわかった。」
「もう、じゅうぶんだよ、ごくろうさん。」
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・
・
・
では、お答えをどうぞ!
あなた:「ん~っと、充分の漢字のほうが正解だ!」
わたし:「ファイナルアンサー?」
あなた:「ファイナルアンサー!」
・
・
・
・
・
わたし:「残念!どっちを使っても正解なんです!」
あなた:「???」
ちょっといじわるな問題で、ごめんなさい。
この問題の場合、上司が、仕事を量的にとらえているなら「十分」。
感情的に満足しているなら「充分」を使います。
十分と充分は、ひらがなで書けば同じ「じゅうぶん」となります。
ですから、その場面その場面で、客観的に数字で見れるかどうかで、どちらの漢字の「じゅうぶん」を使うかが変わってきます。
それでは、この点に注意して、もう一問いってみましょう。
次のようなときには、あなたはどちらの「じゅうぶん」を使いますか。
あなたは、友人たちを食事に招待しました。
あなたは、前菜を友人たちに運んできました。
そして、友人のひとりに聞きました。
あなた:「前菜のかずは、たりてる?」
友人: 「じゅうぶんだ。たりてるよ。」
このときは、「十分」と「充分」のどちらを使いますか?
・
・
・
・
・
あなた:「え~っと。量的にとらえられるから、「十分」のほうだ!」
わたし:「ファイナルアンサー?」
あなた:「ファイナルアンサー!」
・
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・
・
・
わたし:「おめでとうございます。正解です!」
このときには、前菜が量的にたりているかどうかですから、「十分」のほうになります。
数字であらわせる量的なものか、感情的なものか。
このことを、使い分けるときには、注意してください。
公用文にはどっちを使うのか
公用文には、「じゅうぶん」を漢字にするときには「十分」のほうを使います。
ちなみに、公用文とは国、公共団体が公用の文書や法令などに使う文章のことをいいます。
文化庁のホームページでは、こうなっています。
「十分」と「充分」
いずれも普通に行なわれている。憲法では「充分」を使っている。
本来は「十分」であって,「充分」はあて字である。
また,「十」のほうが字画も少なく,教育漢字でもあり,「充」はそうでないことなどからも,漢字を使うとしたら「十分」を採るべきであろう。
しかしながら,最近では,この語はかな書きにする傾向がある。
公用文や「文部省刊行物表記の基準」などでは,かな書きを採り,「十分」と書くことを許容している。
ちなみに、この文章にある「教育漢字」とは、小学校の6年間で習う漢字のことです。
さらに、公用文では、ひらがなで書いてるけれど、「十分」と書いても大目にみますよ。
こんな見解のようです。
許容とは、大目にみてあげる、ということですから。
これは、公用文を書くときの使い方ですから、役所勤めでない方には、あまり関係はありません。
雑学のひとつとして、おぼえておけば、話のネタになるかもしれません。
公用文でどんな漢字を使うかなんて、あまり耳にすることはありませんから。
まとめ
パソコンなどで、簡単にひらがなを漢字に変換できるようになり、メリットもデメリットもあります。
今回の「十分」と「充分」の使い分けなんかもそうです。
辞書で調べることをせずに、変換キーを押すことで、漢字にしている。
それが普通になってしまい、学ぶ、調べるということを忘れがちになっていませんか。
このことは、私も反省です。
言葉は、似ているようで、いろんな違う意味をもっています。
パソコンを使わない選択はありませんが、地道な学びをわすれてはいけないようです。
地道な学びをせずに、パソコンのみにたよっていると、脳がみずから学び調べることを、忘れてしまうかもしれません。
そんなことを考えさせてくれた「十分」と「充分」でした。
あなたは、どう思われますか。
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